34: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:19:47.63 ID:j0v9SOSRo
「これはこの世で一番美しい者の容姿ではないわ」
と笑美莉。
35: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:21:11.88 ID:j0v9SOSRo
ラプンツェルとは、本来なら例えばこうあるべき存在だ。
むかしむかし、親元から魔女にかどわかされた赤ん坊がおりました。
36: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:22:36.53 ID:j0v9SOSRo
『あなた様の美しさは、猛烈な熱風があらゆる起伏を吹き散らしていったあとの冷えた砂漠のように滑らかで平坦な生白い体躯《たいく》』
「それは、美しいと呼べるのかしら?」
37: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:24:10.49 ID:j0v9SOSRo
そうやって疑問を口にしながらも笑美莉にはわかっていた。
己の下腹部に手を伸ばす。
38: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:25:26.76 ID:j0v9SOSRo
代わりにもう片方の手で頭部に触れた。
乱れた黒髪に。なんでもないもの。智子の黒髪に。
39: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:28:38.65 ID:j0v9SOSRo
指先と、手のひらと、言葉による愛撫《あいぶ》。
笑美莉は、自分の言葉に傷つき、興奮し、慰《なぐさ》められ、自己嫌悪する
40: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:29:32.22 ID:j0v9SOSRo
「もっと苦しめばいいのに」
念押しで、もう一回。
41: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:34:00.14 ID:j0v9SOSRo
鏡に背を向ける。
反対側の壁、この部屋の唯一の出口となりうる窓際へと歩み寄る。
42: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:39:40.51 ID:j0v9SOSRo
笑美莉は窓の外を見下した。
笑美莉がいるのは、湖畔《こはん》に立つ尖塔《せんとう》の天辺に設《しつら》えられた部屋だった。
43: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:43:21.89 ID:j0v9SOSRo
結局覚悟なんか決まりきらないまま、一つ目の巨人が何かの間違いで一滴《ひとしずく》の涙をこぼすみたいにドレス姿のお姫様はあっけなく真っ逆さまに落ちていって、砕け、身体は散り散りになって、湖面では高い水しぶきが上がりました。
世界が張り裂けるような巨大な音。
44: ◆2DegdJBwqI[saga sage]
2019/04/01(月) 04:56:43.07 ID:j0v9SOSRo
今日はここまで
おしまい(ここからが本題)
今回の更新ぶん死ぬほど場面の意義がわかりづらいのではないか?
という気がするが、書きたいことのフックとして必要なので
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