305:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:25:57.12 ID:QarN0Zl90
剣豪剣客の前に彼とて一人の男子である。
か弱き少女に屈したという事実は靄となりて彼の肺あたりを蠢いてはいたがそれでもそれは一人の侍の傷にしては小さきところであった。
というのも彼は……否も彼もまた、刃踏の確かな母性から来たる『寛大な慈愛』に呑まれたに過ぎなかったからである。
紺之介(故に『刃踏』か……くそ)
紺之介片目つぶりて頭上に手を置く。
あの敗北する瞬間、あの慈愛に顔を埋めた瞬間だけはきっちりと己が癒されてしまっていたことを認めなければならない。
紺之介は一人ため息を吐いた。
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