18: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/03/02(土) 01:12:19.50 ID:nSoKXtCU0
花丸「そうですか。では続けます」
花丸「ダイヤさんが家を出たら、私はまず洗濯をします。この家は日当たりが悪いので、お日様が差すわずかな時間を狙って洗濯物を干すようにします。乾いたら取り込み畳みます。その洗濯物の中には当然ダイヤさんの服や下着も含まれます。一緒に生活をするようになった当初は、それらに下心を持ってしまいそうになったこともありましたが、さすがにもう慣れたので、やましい気持ちなど全く湧きません。何も思いません。自分の下着を触るのとなんら変わりません。だからすることと言えば、畳む前にちょっとだけ大事に両手で持って、ちょっとだけ顔に近づけて、なんとなく深呼吸をする、程度のことしかしません。洗濯をした後なのであの人の匂いなどしません。お日様の匂いしかしません。でも、これは紛れもなく昨日一日真面目に働くあの人を包んでいた下着です。一生懸命働くあの人の汗を吸ったであろう下着です。また明日もこの下着はあの人を包むのでしょう。あの人を危険から守ってくれるよう、下着の神様にお願いをします。下着を通して、あの人の健勝を願います。今頃脇目も振らずに働いているであろうあの人のに想いを馳せます」
花丸「私は家にいるときのあの人のことしか知りません。職場でのあの人はどのような感じなのでしょうか。朝家を出るときのあの人は少し怖い表情です。あの怖い表情で働いているダイヤさんを想像します。とてもかっこいいと思いました。胸が高鳴りました。傍で見たいと思いました。片腕となって私が支えてあげたいと思いました。でもそれはできないでしょう。だから、せめて頭の中だけでもそんなあの人と私をいっぱいいっぱい想像しました」
花丸「突然、私のいる部屋に、バンッ、と音が響きました。やましいことなど何もないですが、私はびっくりして慌てて顔に押し付けていた下着を離してしまいました。家にいるときにこの音はしょっちゅう響きます。上階か隣の部屋の人がふすまを閉めた時の音です。アパートの壁が薄いので、隣の家の人の生活音がよく聞こえてしまうのです。テレビの音とか、水を流す音とか、呼び鈴とか。改めてこのよくない住居環境を認識させられます。日当たりも悪いし、駅やスーパーも遠いし、二人で住むには狭いし。こんな環境でダイヤさんはちゃんと心と体を休めていることはできているのでしょうか。心配になりました。ダイヤさんのために私が時間を割いてできることは何かないか考えます。普段の私が一日でしていることと言えば、家事全般。それ以外の時間は大体読書をしています。本を読むのが好きだから。私が楽して読書をしているその時間もダイヤさんは真面目に働いています。それに対して自分は食っちゃ寝て読んでばかり。急に自分が恥ずかしくなりました。申し訳なくなりました。ダイヤさんの生活環境を少しでも良くするために、私もお金を稼ごうと思いました。その日の夜、ダイヤさんが帰ってきて一緒に夕食をしているときに伝えました。『私も働こうと思います』」
花丸「それを聞いたダイヤさんはなんと答えましたか?」
ダイヤ「えっ? ええと・・・。別に、自由にしたらいいと思いますが」
花丸「違います。ダイヤさんは少し考え、こう答えました。『働くな』と」
ダイヤ「なぜ・・・・?」
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