13: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:46:51.17 ID:aP5KLD6H0
なのにPサマは、いつもぼくのことを見てたよね。
失敗すれば「大丈夫だ、次はできる」そうぼくを励ましてた。
もたもたしてれば「落ち着いて、少しずつやればいい」そうぼくを落ち着かせた。
たまにできれば「よくできたぞ、頑張ったな!」そうぼくを褒めてくれた。
14: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:47:42.54 ID:aP5KLD6H0
そうしてその日がやってくる。
オーディション。ぼくの、初めてのステージ。
その日のことはよく覚えてるよ。
ぼくの手を握ってPサマ大喜びだったよね。
15: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:48:36.65 ID:aP5KLD6H0
みんなの前に立つ。みんなの視線に晒される。
今のぼくには恐怖でしかない。
失敗したらどうしよう。出来なかったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。いられなくなったらどうしよう。
16: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:49:16.41 ID:aP5KLD6H0
オーディションまでは時間がない。当然これまで以上に熱も入る。
やらなきゃ合格できない。合格しなきゃアイドルにはなれない。
そう考えると、身体が全然動かなくなった。
出来たはずのことが出来なくなって、いつもの時間に起きれなくなって、
Pサマの言葉も遠くに聞こえるようになって、周りの視線に敏感になった。
17: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:49:47.86 ID:aP5KLD6H0
辛い。しんどい。なんでぼくがこんな目に。
もういい。もういいや。もういやだ。
こんな目にあうのはたくさんだ!
18: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:50:25.45 ID:aP5KLD6H0
これでもうイヤな思いは終わり。
疲れないし、しんどくないし、人の目にやむこともない。
散々迷惑かけて裏切ったんだ。普通の人なら見捨てるに決まってる。
……Pサマを裏切ったことだけは、少し心が痛んだけど。
でももう耐えられない。だからぼくは逃げ出したんだ。
19: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:51:10.01 ID:aP5KLD6H0
なんで??
なんでこの人は怒らないの?
なんでこの人はぼくを見つけるの?
20: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:51:39.78 ID:aP5KLD6H0
ヘンだ。
こいつヘンだ。
21: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:52:14.65 ID:aP5KLD6H0
「迷惑なんて、いつ俺が言ったんだ」
「いうわけないだろ!!!お前はプロデューサーなんだから!!!」
「けど迷惑に決まってる!!関係ない人に頭下げて、遅くまで付き合って、いつもいつも歩き回って!!」
22: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:52:56.76 ID:aP5KLD6H0
「……本気で言ってるのか」
声色が変わった。今まで聞いたことのないような怖い声。
「りあむ。本当に、アイドル辞めるのか」
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