不死講
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24:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/03/26(火) 19:43:06.05 ID:Dac6MvdP0


 というわけで、現在の僕は浮気調査の張り込みを開始して二日目にあたっている。
といっても、調査対象を尾行して車中泊してアンパン食べてというわけではない。
むしろ快適の一言である。
だって、僕はいま旅館の一室に部屋を借りて布団に横になりながら仕事をこなしているのだから。

テレビのチャンネルを一通り回し、特に面白そうな番組もなかったために僕は手慰みにと調査依頼書を引きずり出した。

依頼者であるポケットティッシュ夫人は、夫であるセロハンテープ氏を全く信用していない。
過去にも数度、浮気をしていたことがあるようだが明らかな証拠が揃わず離婚することができなかった。
そして今回、浮気の兆候を見て取った彼女は確実な証拠を押さえるべく探偵である僕に依頼をしてきた。
まとめるとこんなところである。

しかしまあ、女の感というものはよく当たるもので。
セロハンテープ氏の出張に張り付いてみたら、どんぴしゃで不倫温泉旅行だったわけで。
夫人から頂いた前金を使って、対象が泊っている隣の部屋を借りて浮気調査を実行中というわけなのである。

尾行という仕事は、その性質上非常に神経をつかい肉体精神問わずに疲労に苛まれるものであるが。
二日目ともなれば慣れたもので、僕の傍らには当然のようにジョニーウォーカーが転がっていた。

前金をもってして温泉旅館に宿泊できるという好機についはしゃぎ過ぎてしまった。
布団からは、既に胃液とアルコールが混じった匂いが発せられている。前夜からしてこれである。ちなみに今は昼だ。
だが、これもまた仕方のないことなのだ必要悪であるとすら言ってもいい。
だって昨晩は、隣でギッタンバッタンうるさくて眠れやしなかったんだ。お酒で安眠が買えるなら安い物さ。

シュレディンガーは事務所で、お留守番をしているはずであったが。
どういうわけか、僕のリュックサックの中に忍び込んでしまっていたらしい。


「気を抜くなよシュレディンガー」


戯れに黒猫の頭をガシガシ撫でる。
今回は、初めての共同作業だ。うまくやろうぜ相棒。
シュレディンガーは、まるで「任せておけ」と言わんばかりに少し強めに「なーご」と鳴いた。


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