17: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/03/04(月) 23:28:26.92 ID:BQ4P3nWK0
「おい。あんた助けてくれ」
知らない男の声が聞こえてきた。
その声は紛れもなく猫の口から発せられていた。
「なんてことだ猫が喋るなんて!?」
「違う。吾輩は猫ではない」
「いや、その言いぶりは僕が知っている限り猫のものだ!」
「吾輩は結婚指輪だ。助けてくれないか。自分独りじゃ動けないんだ」
この世界には獣は存在していない。すなわち、この世界で猫のあやし方を知っているのは僕一人であるはずだ。
ふむ。異世界の住人に、猫のあやし方を披露してチヤホヤしてもらう展開もありでは無かろうか。他にも猫がいればの話だが。
僕は、ンナーゴンナーゴと猫なで声で彼に近づく。
通学途中に近所の野良猫をネコソギ手懐けた僕の必殺技である。
あっという間に、僕は猫の懐柔を完了し。結婚指輪氏を救出しすることに成功していた。
猫は、僕に撫でられながらごろごろ鳴いてる。
「貴方の奥さんに雇われた、探偵です。何があったんですか」と、ミステリー物では答え合わせが始まる展開であろう。
しかし、これはミステリー小説ではくネットのゴミ捨て場「異世界転移物」である。読者の興味がわかないところには手を伸ばさないのが僕の主義だ。
それに、込み入った事情に立ち入らないのは大人として職業探偵としてのリスクマネジメントとも言える。
謎は残るが気にはしない。だって依頼は完遂されたのだから。
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