少女は死ぬまで生きるようです
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6:はみがき
2019/02/10(日) 11:41:42.97 ID:eA0evHgOO
さて……次はどこへ向かおうか?

そう考えていた矢先。

「おい、No.1254、そこでなにしてる」

「……!?」

突如現れた大男。
彼が見ていたのは…私ではなく。
明らかに……他者からは認識すらできないはずの……百夜だった。

「なんだ、No.514じゃないか。驚かさないでくれよ…驚くことに慣れてないんだ」

「驚くことに慣れてるやつなんているものか。それより…なぜ生者と会話をしている?それも親しげに。いや…理由はどうでもいいか」

No.514と呼ばれた男は、腕を組んでため息をついた。ガタイがいいだけにその姿にはなんだか迫力がある。

「はぁー、死神条項に違反している、って言いたいんだろ?」

「……自覚してやってるなら尚更罪悪だな。おとなしく本部に出頭しろ」

その男が怒気を孕んだ声で言う。私はもう百夜と旅ができないのだろうか?そんな憂鬱がお腹の脇を横切ったとき。

「逃げるよ、詩織」

「……っえ!?」

彼女は私の襟首を鷲づかみにすると、ひとっ飛びでコンビニの屋根の上に降り立った。

「おい……No.1254、なんの真似だ…?」

「いくら相手が古株だからって、死神が死神から逃げられない道理はないさ。時効って言葉、知ってる?」

「お前…!」

「詩織…ちょっとごめんよ」
百夜は男に挑戦的に言い放つと、私の額に触れた。世界がぐるりと反転して、地面から落っことされたような気分になる。

「詩織と私を透明化したよ。それも選択的にね。つまり、これでNo.514から私たちのことは見えない」

「おえっ……百夜って透明化する度にこんな気分になってるの?」

「何ごとも慣れるもんさ。ほら…早いとこここを離れよう。行きたい所はある?」

「じゃあ……楽器屋さん。ちょっと遠いけど……」

「いいよ、旅に移動は付き物だ」

にっこりと笑む彼女の静かな瞳に私はなんだか安堵を覚え、その場をあとにしたのだった。




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