28:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:40:41.55 ID:6bUZbsq+0
そんな初遭遇を経て、俺は彼女に対して無駄に口を開かず、無駄な動作もせずに粛々とアールグレイを運ぶ仕事をしていた。
そんなある日、唐突に変化が訪れた。
俺がいつものようにアールグレイを持っていくと、時子さんに相席者がいたのだ。
「ねぇねぇ時子さん! どう、この新作ドーナツ!」
「………悪くは無いわね」
なんと、彼女を堂々と『時子さん』と呼び楽しくティータイムを満喫させているのだ。
俺は恐れ戦きつつも、いつもの如くアールグレイを差し出した。
「アールグレイです」
「あっ、『カフェの本田くん』だ! すみません、ココアを1つ!」
「法子、喋るなら口に物が無くなってからにしなさい」
「あ、ごめんなさーい」
「えーっと、ココアお1つですね。少々お待ちを」
法子ちゃん、と言ったか。呼び方からして姉妹では無さそうだが、何がどうすれば時子さんとあの様にほのぼの空間を作れるのだ? ……時子さんの眉間にはコルカ渓谷にも似た皺が刻まれてはいたが。
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