47: ◆O.FqorSBYM[saga]
2019/01/06(日) 00:43:36.97 ID:S5Xl1a3+0
女看守「────っ」
視界に捉えていた洞窟の入り口が遠ざかっていく。
あそこには彼女が閉じ込められているのに、遠ざかってしまう。
そして気づけば女看守は救命宇宙船のある部屋に連れ込まれ、閉じ込められてしまった。
救命部隊1「──よいしょ...しばらくここでお待ち下さい」
救命部隊2「...今、通信があった...どうやら生存者はこの女性だけらしいぞ」
救命部隊2「あとは全て、死亡が確認されたようだ...」
救命部隊2「1人だけ遺体を確認できなかったようだが、この大事故だ...全ての確認は無理だな」
救命部隊1「...やはりそうですか、母艦は速攻で撃沈したみたいですしね」
救命部隊2「あぁ、だが1人でも助けることができてよかったな────」
女看守「...」
すべてが灰色に感じる。
もう何も聞こえない、何もすることはできない。
しっかりと探せば、彼女はまだ生きているかもしれないのに。
女看守「...」
だが、わざわざ死刑囚を探すことなどあり得るのか。
昔の自分ならこう決断するだろう、死に場所が違うだけで刑は執行されたと。
己の思考回路の奥底にそれが存在していた、だからこそ彼女はふさぎ込む。
女看守「...」
もう彼女にまともな恋愛は不可能だろう。
たった一度愛してしまったストックホルムシンドロームがそれを許してくれない。
ましては同性愛者に染まった彼女に新たな恋など許されるだろうか。
女看守「...」
それは未来の世界でも許されていなかった。
女性が女性を好きなるということは、世論では一般的ではない。
ようやく呟くその言葉、看守であるはずの彼女は女囚人という名の檻の中に。
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