75: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2019/01/03(木) 20:23:31.96 ID:p8Id/7Jt0
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「んー……まあ、指せるよ」
若干迷ったような口ぶりで、杏が答える。
「なら、一手御指南いただきたい」
「堅苦しいね」
杏がけらけらと笑う。
「将棋かー。いいよ、一局だけね」
「ありがたい。あと、生意気言うようで恐縮じゃが」
「なに?」
「本気で、頼むわ」
杏から見れば巴は年下だ、花を持たせようとするかもしれない。考え方は人それぞれだが、巴は手加減をするのもされるのも好きではなかった。手加減されて、それでも負けるというのならまだいい。だが、勝たせてもらうのは御免だ。それよりは惨敗のほうが遥かにいいと思えた。
杏は一瞬ちらりと巴に視線を向け、「はいよ」と答えた。
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