魔王「停戦協定を結びに来た」受付「番号札をとってお待ちください」
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32: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/01/06(日) 22:36:22.42 ID:wCydXtek0

 左手に錫杖。僧侶の全身の半分くらいの長さはあるだろうか。先端に三つの輪のついた金属製で、不規則に走査する紫の光から、それが鉱瘴を使って打たれたものだとわかる。恐らく魔術式が刻まれているはずだ。
 右手は空いているけど、中指の指輪と、滑らかな生地の篭手が気になった。あれにも魔術式が刻まれていると想定すれば、握手さえあたしは拒むだろう。

 すぐに装備を把握しようとするのは、完全に傭兵としての職業病だった。強い存在がいい傭兵になれるのではない。危機管理能力が高い存在こそが、一流足りえる。
 あたしの眼は特別性だ。神様から賜った武器、その名は観察眼。

「アディルデ、って言うんです。大通りの敷地を色々な人に貸し出して、自由に使ってもらう。一日だけのところもあれば、五日くらいやっているところもありますし、長々と営業しているところも」

 その僧侶は薄く笑った。とにかく細い、切れ長の瞳が、さらに一層細められる。

 あたしはやっぱり、蛇のようだな、と思った。




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