魔王「停戦協定を結びに来た」受付「番号札をとってお待ちください」
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14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2018/12/31(月) 22:03:45.03 ID:sCIvJdmA0
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 あたしの手にはほかほかの串焼きが二本あります。茶色いほうはタレに付け込まれた魔ブルゲー。桃色の肉の隙間から白い脂身が覗いているのは、軽く塩を振って炙られたブルゲー。どちらからもいい香りが立ち上っています。
 冷めないうちにと小走りでアトレイのもとへとたどり着くと、彼はあたしが戻ってきたのにも気づかぬ様子で、紙を目の前になんだか唸っていました。

 うーんうーんと言う声だけ聴けば、まるで洞穴に住むベイクィックの発情期にも似ていました。あたしは書類仕事のことはさっぱりわかりません。契約書に瑕疵がないかどうか、それさえわかれば問題ないように生きてきましたから。
 そっと脇から覗き込んでも、やっぱり何が何だか。アトレイと同じく首をかしげるばかり。

 と、匂いで気づいたのでしょう。やっとアトレイがこちらを振り向きました。

「おう、お帰り」

「ただいま。ね、どうしたの」

「ん? あぁ、これなぁ」

 アトレイはブルゲーの串焼きをあたしの手から取って、がぶり、かぶりつきます。




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