20:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 21:05:09.24 ID:JbQZeQhn0
「おい、何だお前今日もマックかよ?」
「アハハ、えぇ、まぁ……」
同僚の冷やかしを無視して、昼休みにマックへ通う日々がしばらく続いた。
あの男に出くわす日は、その1割にも満たなかったが、それでも会う度に確信めいた疑念が深まるのを感じた。
居ても立ってもいられず、とうとう会社に断りを入れて休みをもらい、その男を家まで尾行するまでした。
いよいよ僕は、変人を通り越して危険人物だ。
だが、そうせずにはいられなかった。
彼が何者なのか、思い出さなくてはならないという切迫した思いは、もはや使命感と言ってもよかった。
しかし、胸中に渦巻く疑念を晴らすことはとうとう出来なかった。
あの男は、古びた木造アパートの一室に住む、その日暮らしのだらしない男でしかなかった。
諦めきれなかった。
だが、認めるしかない。
僕は、あんなつまらない男のために無駄な情熱を注ぎ、無為な時間を費やしてきたのだ。
そして、諦めて忘れようとしたその時――。
街にジングルベルが鳴り響き、気づくと僕の手の中には、見慣れたバッジがあった。
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