2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/19(水) 23:01:48.19 ID:uEGK3sYu0
「キョン、ちょっとこっち向いて」
「なんだよ、突然」
クリスマスが間近に迫った、12月某日。
その日、俺は放課後の教室でハルヒに勉強を教えて貰っていた。もちろん、拒否権はない。
こちらの都合などお構いなしに授業は始まり、俺の新品同然の教科書に対して縦横無尽に蛍光色のマーカーペンを走らせ、メモを取らせる。
そうして公式やら年号やら単語やらを叩き込んだ後は即興で作成したハルヒ謹製の難解なひっかけだらけな問題文を解かせ、記憶力を試す。
当然、間違えれば怒られる。罵詈雑言の嵐。
シャーペンで手の甲を突くこともしばしばだ。
無論、チクチクされて喜ぶ趣味などない。
だから俺は間違えないよう、必死こいて脳みそを酷使していたのだが、唐突に邪魔が入った。
せっかく暗記した諸々を脳内から逃したくないと思い、俺は人権を行使して文句を口にする。
「悪いが、今の俺にはお前の相手をしてやる余裕なんてない。手の甲が流血するのは御免だ」
「いいから、こっち向け!」
問答無用とはまさにこのことだろう。
顎を掴まれ、グイッと顔を上げさせられた。
そのまま、左右に顔を向けられ、観察される。
俺は困惑しつつ、ハルヒの大きな瞳から目が離せないでいた。そこには好奇心が映っている。
暫く、そうやってこちらの顔を眺めた後、何やら困ったような顔をして、顎から手を離した。
「うーん……やっぱり、冴えない顔なのよね」
うるせえ。余計な上に大きなお世話だ。
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