【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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36: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/19(水) 05:52:22.87 ID:ER7oh7KA0


「だーっ! いいっ加減にしろ〜っ!!」

「……あ、キレた」

「予想より早かったな」


五十鈴と提督が呟く。


うがーっと両手をあげて群がる駆逐艦たちを振り飛ばし、ほうほうの体で北上と大井が提督の前に辿り着く。


「やれやれ……。あ〜、ひどい目にあったよ〜。駆逐艦、ほんとまじウザい」

「大丈夫ですか、北上さん?」

「……ご苦労だったな、見事な戦いだった」


提督が声をかけると、北上と大井はぴしりと姿勢を正して敬礼する。表情に疲れは見えず、その瞳は誇らしげにきらきらと輝いている。


「雷巡北上に雷巡大井、ただ今帰投しましたよっ、と」

「相手戦艦2隻、全隻撃沈。当方の損害は北上、大井ともに皆無。完全勝利です提督」

「……うむ」


真面目くさった表情で答礼した提督が、手を下ろすと同時に破顔し、がばっと両腕を広げる。


「よくやったな! やっぱりお前たちは最高だ!」

「きゃっ!」

「あたた、痛い、痛いってば提督」


いきなり二人を抱き寄せたかと思うと、分厚い手のひらで北上と大井の髪を交互にわしゃわしゃとかき回す。


「……あれに、毎回やられちゃうのよねぇ」


五十鈴がやれやれといった表情になる。

彼女たちの提督は、決して切れ者という印象ではない。

その外見は人並み外れた巨体にごつごつした大きな顔。短い髪はぼさぼさで一見いかつい見た目だが、やや垂れ目気味の目と丸っこい鼻が、ふと笑った顔を見たくなるような、奇妙な愛嬌を与えている。

そして実際よく笑い、そしてよく泣く。

ここまで艦娘の轟沈者を全く出さずに深海棲艦の侵攻を食い止め、それどころかこれまで敵に支配されていた海域をじりじりと奪い返してきている以上、もちろん無能ということは有り得ない。

だが完全無欠の軍人などでは全くなく、しょっちゅう書類の書き間違いはするし、作戦ミスを指摘されればその度に激しく落ち込む。

艦娘の悪戯にムキになって反応し、鎮守府中を巻き込んだ追っかけっこにまで発展したこともある。

下世話な冗談も口にするしセクハラめいた言動で艦娘たちからひんしゅくを買うこともしばしばだ。

だが、傷ついた艦娘のことを大げさなくらいに心配し、戦果をあげた艦娘を恥ずかしくなるくらいに賞賛するこの提督を、配下の艦娘たちは嫌いにはなれなかった。





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