【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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35: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/19(水) 05:48:01.60 ID:ER7oh7KA0

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「……は〜、疲れた〜、早く帰りた―い」

「はい北上さん、さっきそこの売店で買っておきましたよ、冷たい飲み物」

「おぉ、さっすが大井っち、気が効くね〜♪」


合同演習会場のモニタールーム。演習を終えた艦娘達が、各鎮守府ごとに集まっている。

そこに戻ってきた北上と大井を見つけた同鎮守府の艦娘たちが、わっと歓声をあげた。


「お帰りなさい、凄かったのです!」

「なかなかやるじゃない! 一人前のレディーとして扱ってあげるわ!」

「……ハラショー」

「輸送任務より、やっぱ戦闘よね!」


全五戦あった模擬戦演習に参加した者、見学に来た者。

流石に大型艦達は自重しているが、特に年少の駆逐艦たちなどは興奮して大騒ぎである。

飛び付いてきた駆逐艦たちに肩を叩かれたり袖を引っ張られたり。中には無理に腕を伸ばして頭を撫でようとする者などもいたりして。北上も大井ももみくちゃにされている。


「……あーもー、駆逐艦うっざーい! 寄るな触るな懐くな〜! ……あっこら! しがみついて来るんじゃないっての!」

「ちょっと! あなた達! 北上さんは疲れてるのよ! ……あいたた、誰よ髪引っ張ったの!」


その中で阿武隈は、騒ぎの輪に加わらず、提督や五十鈴の傍で立ち尽くしていた。


「……ほら、あんたの教導の凱旋よ? 行かなくていいの?」


五十鈴がちらりと横目で見るが、阿武隈は動かない。


「……ま、好きにしなさい」


五十鈴はため息をつき、意地っ張りなんだから、と声を出さず、唇の動きだけで呟いた。


阿武隈の頭の中では、さっきまで目にしていた模擬戦演習の光景が、早回しでぐるぐる流れている。


(凄い、凄かった……!)


艦娘とは……鍛えれば、磨き上げれば、あそこまでの高みに辿り着けるものなのか――。


(……とてもかなわない、今はまだ)


ぎゅっ、と服の裾を握りしめる。


(……けど、あたしだって……!)





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