【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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106: ◆axPwtNeSoU[saga !red_res]
2018/12/20(木) 00:07:14.34 ID:dKCyvHSA0


それを何と呼ぶべきか――船霊と捉えるべきなのか、付喪神と理解するべきなのかは、未だに判らない。


ただ、それを何と呼ぼうと――確かにあの頃の【軽巡・北上】には、既に、意識が、感情が、心が存在していた。


もちろんそれが、【艦娘】として生まれ変わってからの意識や心とは似て非なる……いや、おそらくは全く別のものである事は間違いない。


――だがそれは、今の自分、【艦娘・北上】に確かに地続きでつながっている。水底で結びついている。






――それがいつ頃「生まれた」のかは、いまだにひどく曖昧だ。


最初は夢見心地にいるような、ぼんやりとした意識だったと思う。


鉄の塊として、道具として、船として、兵器として――ただ与えられた役割を与えられたままに淡々とこなし受け入れる、鉱物のような心。


決戦用戦力として期待され、重雷装巡洋艦として改装された時も――ああ、そうなのか、と思っただけだった。


結局その役割を一度も果たさないまま、高速輸送艦としての任務に従事するようになった時も――ああ、そうなのか、と思っただけだった。



ほんの少しだけ、残念な気持ちにはなったかも知れない。


だが結局は全てを、あるがままをあるがままに受け入れた。


兵器として、船として、道具として、鉄の塊として――それが当然のことだ。




モノクロの世界の中、灰色の意識の中、ただ歳月が流れていく。




そしてある時――世界に、色が付いた。




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