7: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/12/16(日) 23:58:18.94 ID:pUh8l9DQo
「それにしても…」
「ふぇ?」
「落ち着いているんですね…私が貴女だったら、そんな風にはいられません…」
「きっと、なんとかなるでしょうから。それにほら、諦めずに歩みを止めなかった者だけがゴールを踏むことができる…って誰かが言っていましたし!」
そう呟いた彼女の横顔は湯船から揺らぐ湯気のせいでゆらゆらと揺蕩っているように見えました。それがなんだか寂しげでしたがすぐに明るく言い放ってこちらを見たせいで一瞬で消えてしまいました。
「そうだ!」
ぱあっと顔を明るくした人魚さんがぐいっと身を乗り出して私の手を取りました。触れた彼女の手はこんなに長い時間お湯に浸かっているはずなのに、全然すべすべなままで、ほっとするくらいに暖かいものでした。
「踊ってくれませんか?歌は私が歌いますから…ね?」
そう言って可愛く微笑んだ彼女の顔は、私がよく知っているような気がしました。
だけど、そんな考えは彼女の言った言葉にすぐかき消されます。
「えっ、なんで踊るなんてことに…?」
「だってアイドルじゃないですかっ。私は歌を、貴女は踊りをなんて楽しそうじゃないですか?」
私、自分がアイドルだなんて言いましたっけ。そんなことを言った覚えはないんですが……
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