19:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:29:25.67 ID:wXX+fiS7o
――――――
新学期が始まって間もなく、桜の花びらも散りきらないようなある日の放課後、忘れ物を取りに教室にもどった私は、引き戸に手をかけたそのとき、
中に人の気配が残っていることに気がつきました。
耳を澄ませてみると、ほんのかすかに音楽が聞こえます。
そしてその音には聞き覚えがありました。
……Boy いつの日からか まだ見ぬ人に ときめいていた
Boy 心に深く 伝える愛は 不思議な力……♪
いえ、聞き覚えと言うよりはもはや体に染みついていると言ってもいい、
30年も前に流行った、私の大好きな曲の中の一つ。
―――あの曲? 教室で? 誰が?
ゆっくり、ゆっくり扉を開けてみると……
担任の先生が、教卓に座って携帯電話からその音を鳴らしながら、
部活動にいそしむ生徒たちの集まるグラウンドを見下ろしていました。
今年新任として学校にやってきた、まだ若い先生です。
「……先生?」
「!」
先生は私に気づくと慌てて携帯をしまい、音を消そうとしていました。
「待って下さい、先生! 今の……」
「いえ、なんでもないんです」
「『BOYのテーマ』ですよね? モモコちゃんの!!」
いけない、思わず叫んでしまいました……。
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