【シャニマスSS】甜花「シンデレラと」夏葉「サンドリヨン」
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52: ◆/rHuADhITI[saga]
2018/12/05(水) 00:38:49.57 ID:eg1fP+qa0

甜花「夏葉さんは、なんで……今回の舞台に……?」

甜花「その……きっかけとか、聞かせて欲しい……」

夏葉「きっかけ、というと……?」

甜花「甜花は、だだの代役だけど……夏葉さんは、どうだったのかなって……」

夏葉「ああ、そういうこと」

ばつが悪そうに、目を細める。

夏葉「……私が『有栖川』だから、かしらね」

ちょうど影が差して、夏葉さんの表情が隠れた。

夏葉「少し前の話なんだけどね。『ロミオとジュリエット』をやったの。同じユニットの、樹里って子と一緒に」

夏葉「それが、私の初舞台だったのだけど……初回公演の時、父が見に来てくれたわ」

甜花「お父さん……? 社長さん、だよね。それで『有栖川』だからって……」

夏葉「ああ、そういう事じゃないの。紛らわしい言い方をして、ごめんなさい」

夏葉「父が誰かを動かした、と言うことでは無いわ」

夏葉「父も私も、そういう卑しい事は絶対にしない。父の預かり知らぬ所で、事が起こったという話よ」

夏葉「同席した、父の友人のそのまた友人が、偶然に今の劇団の人と繋がりがあったの」

夏葉「その友人さんが大の演劇好きで、私の演技を見て気に入ってくれて……」

夏葉「その話が劇団の人にいって、それでオファーが来た……私のきっかけは、そんな感じよ」

甜花「それだと夏葉さんの……実力、なんだよね……?」

どうあれ、友人の友人さんに気に入られたのは、夏葉さんの演技のはずだ。

夏葉「それは、どうかしらね」

語り口調は淡々としていて、夏葉さんの感情が読み取れない。

自身のきっかけをどう思っているのか、読み取るすべは無かった。

夏葉「オファーをくれた人は、私と父の関係を知らなかった。だから、誰かの悪意があったわけじゃない」

夏葉「それでも、私が『有栖川』じゃなければこの話はなかった。それは事実よ」

そこで再び、月明かりがその場を照らした。

ようやく、表情が見える。

夏葉「……ままならないものよね、家族って」

夏葉さんは、困ったように笑っていた。

その表情は確かな憂いを帯びていて、しかし、怒りや憎しみといった負の物が無い。

不思議な表情だった。


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