82: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/26(水) 19:17:50.69 ID:9rFSBGbj0
コツコツ。
後ろのほうから足音が聞こえる。
だんだんとその音が大きくなってきた。
あー、帰りたい。
だって、あの人どんなものよりも研究大好きな人間なんだよ。
話し合ったってあたしのことをわかってくれるとは思えないし、あたしも彼を理解できないんじゃないかって思ってしまう。
つまらないことで呼ぶなって怒られるかもしれない。
誰も得をしない無意味な時間になるかもしれない。
だけど、仁奈ちゃんと約束してしまった。
あの子はママとちゃんと向き合ったから。
だったら、あたしが逃げちゃいけないよね。
あの言葉が頭をよぎる。
意味なんてない、ただどうしても呟きたかった。
「ママの気持ちになるですよ」
カツン。
足音が真後ろで止まる。
「志希」
テレビで聞いてた声よりも掠れていて、それに震えている。
どうして、大好きな研究を放り出してまでここに来てくれたのだろーか。
聞いたら、教えてくれるかな?
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