81: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/26(水) 19:14:50.84 ID:9rFSBGbj0
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とっくにお盆を過ぎた墓地はしんと静まり返っている。
ママが亡くなってから1度しか来たことのなかったお墓は、綺麗に掃除されていた。
いったい誰が墓参りに来てくれてるんだろうか。
わからない。
あれだけ一緒にいたはずのに、あたし、ママのことぜんぜん知らないんだ。
線香と蝋燭が入った袋を地面に置く。
線香はまだあげない。
これの出番は、来るかもわからない待ち人が来てからだ。
風がびゅうとあたしの体を震わせる。
日時、場所、そしてどうしても会いたいから来てほしい。
パパに送った手紙にはそれ以外になにも書かなかった。
ほんとうに届けたい言葉っていうのは、まっすぐに向きあって話さないと伝わらないと思ったから。
来てくれるかどうかすらわからない。
それでも、あたしはここで待つことに決めた。
だって──。
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