43: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:29:35.65 ID:kZJKvpHt0
「あたし、知ってるよ。キミがいっぱいがんばってきたこと。あたしじゃママの代わりになんてならないかもしれないけど、
ここで見てるから。だから、キミならできるよ」
あたしの口から出てきたのは、そんな言葉だった。
支離滅裂で論理性の欠片もない、少年漫画にありがちのチープな科白。
仁奈ちゃんも呆れちゃったんだろうか。
ようやく口を開いたかと思えば、こんなことを言いだした。
「……ライブが終わったら、志希おねーさんといっしょに、またカレーを食べてもいいでごぜーますか?」
「もちろん。何杯でも一緒に食べよう」
『それじゃあみなさん、大きな声で呼んでください。せーの』
仁奈ちゃんはなにかをこらえるように俯いたあと、なにかを呟いた。
「 」
「「「仁奈ちゃん!!!」」」と彼女の名前を叫ぶ声とかぶさって、その言葉は聞き取れなかった。
にぱっと笑った仁奈ちゃんは、ステージに向かって駆け出す。
「はーい、仁奈、市原仁奈って名前でごぜーます! みなさん、よろしくおねげーします!」
大きな拍手と歓声にからはじまったステージは、ちょっとしたハプニングはあったものの、最後まで明るい笑いに包まれて、無事大成功に終わった。
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