一ノ瀬志希「ママの気持ちになるですよ」
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17: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/04(火) 18:58:00.35 ID:KkkdUbN10
 女の子は日本の岩手県というところにある、ママのお父さんがお母さんが住む実家に引き取られました。
 おじいさんたちは、にこにこと笑って女の子に言います。

「かわいいんだからこれを着なさい」
「ママは志希の歳のころにはもっとしっかりしていたぞ」
「賢いんだからもっと勉強して偉い人になりなさい」
「お父さんみたいな人でなしになったらだめだぞ」

 ここでは女の子は、ギフテッドという単純な記号と、かわいいお人形さんでしかありませんでした。
 
 ガッコーでも彼女の言ってることを理解してくれる人なんていません。
 期待、嫉妬、畏怖、劣情。
 彼女の周りはいつしかそんなにおいばかりになって、だんだんと退屈するようになっていきました。

 そんなある日、授業をさぼってぶらぶらお散歩をしていると、ふてぶてしい顔をしたノラ猫がじっとこちらを見ていることに気づきました。
 その猫としばらくにらめっこをしていましたが、猫は飽きたように「にゃあ」と鳴いてあくびをすると、そのまま体を丸めて眠ってしまいました。

「……にゃはは」

 女の子もこんな風にあくびをしながら、お昼寝をしたくなりました。

 だから、アメリカに飛ぶことに決めました。パパが教授を勤めている、アメリカの大学に。
 彼や、女の子と同じギフテッドが集まる場所なら、退屈しなくてすむだろうと思ったからです。



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