23: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/12/02(日) 01:12:59.07 ID:3XuD1HsnO
【#5】冒険の後に
その夜、兵士に連れられて無事に帰宅した少女を、姉は笑顔で出迎えた。
てっきり叱られるとばかり思っていた為、若干の戸惑いはあったものの、姉の顔を見て安堵する。
しかし、それも束の間。
兵士に向かって何度も頭を下げる姉の姿を見て、自分がどれだけのことをしたのかを知る。
酷く申し訳ない気持ちになり、叱られずに済んだと安堵した自分を強く恥じた。
そして、こうも考えた。姉はどんな気持ちで自分を待っていたのだろうか。
もし逆だったら、姉が外へ出たきり帰らなかったら、姉が魔物に襲われたと聞いたら。
それを想像した途端、とてつもない喪失感と恐怖が小さな体を揺さぶった。
少女は居ても立ってもいられず姉の足にしがみつくと、堰を切ったように泣き出した。
姉はそんな妹の姿を見て、そっと頬を撫でる。
「おかえり、もう大丈夫だからね」
少女はその夜、姉に抱かれて泥のように眠った。
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