11: ◆xxLVUHZFyEbH[sage saga]
2018/11/23(金) 22:23:38.68 ID:VkJ2I7r5o
なだめる小鳥を無視して、美希は春香を見つめた。
春香に迷惑をかけてまで自分のプロデュースをしていると聞いて、美希は怒りを収められなかった。
事務所の仲間に迷惑をかけるのは言語道断だと美希は思った。
同時に、プロデューサーを信じるという春香の言葉を理解できなかった。
鼻息の荒い美希の目を見て、春香は迷いなく答えた。
「プロデューサーさんが私の担当だった時、信じてたから。私、何のためにアイドルやってるか分からなくなったことがあるんだ。小さい頃からの憧れだったから始めたんだけど、失敗するとそれも忘れてしまいそうになったの。そんな時、いつもプロデューサーさんが励ましてくれて、私がどうしてアイドルやりたいかを思い出させてくれた。そんな人だから、きっとまた戻ってきてくれると思うんだ」
「そうなんだ。あの人、ちゃんとしてる時もあるんだね」
「私、本当はプロデューサーさんにすぐに戻ってきてほしい。でも美希がそれだけ期待されてるからなんだよね。私も頑張るから」
「春香......」
確かにあの人を敵視し過ぎてたかもしれないの、と美希は思った。春香のためにもミキが頑張らないと、失礼だよね。明日からはちゃんとレッスンするの。
美希が考えていると、傍で春香の話を聞いていた小鳥が口を開いた。
「春香ちゃんは小さい頃からの憧れでアイドルをしてるって言ってたけど、美希ちゃんはどうしてアイドルになろうと思ったのかしら?そのあたり、私もよく知らないから気になるわ」
「ミキ?ミキはね、友達が......」
「どうしたの、美希ちゃん?」
美希は小鳥の質問を反芻した。
何のためにアイドルを目指したのか。答えは簡単、友人に勧められて何となく。しかしそれを言うのはとても恥ずかしいことのような気がして、美希は言葉を濁した。
「やっぱり秘密なの」
「美希、ずるいよ〜!私は教えたのに!」
「春香が勝手に言い出したの」
「それは、そうだけどさ。拗ねちゃうなあ」
どうしてアイドルになりたいのか。美希は事務所から帰ってからも考え続けたが、答えを見つけることができなかった。
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