76: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 00:05:27.12 ID:6W5BK61q0
時折嫌な視線を感じながらも、平和な高校生活を送ったように思う。
クォ・ヴァディスに悲哀の感情を売り渡したから、単に思い出せないだけかもしれないけれど。
俺達は隣県の大学を受験し、俺は理学部の地球科学科、彼女は化学科に進学した。
『就職のこと考えるとさあ、学部間違えたなって思うよな』
俺のぼやきに、坂田は「だよなあ」と同意した。
同じ理系の学部でも、理学部より工学部の方が就職に恵まれているのだ。
俺が地球科学科を選んだ理由は単純だ。地学が好き。それだけだ。
目標も夢も特に持ち合わせてはおらす、将来のことも考えていなかった。
『なあ&%$#&#、お前もさ、建築系のとことか、工学部のそれっぽいところを選ぶことはできただろ。ここでよかったのか?』
『いいの!』
彼女の答えに迷いはなかった。
『ケイ酸♪ ホウ酸♪ ア〜ル〜ミナ〜♪ ぐぇへへへへへ』
俺や坂田、その他理学部連中が愚痴を言っている傍ら、彼女は心底楽しそうに研究に没頭していた。
俺はそんな彼女が羨ましくて、そしてやっぱり好きだった。
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