【モバマス】時子「30mmの彼方から」
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52: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 20:20:08.26 ID:1iL2fWn50

ちひろ「その言葉、プロデューサーさんにも聞かせてあげたかったですね」

時子「そういえばあの豚は……私を置いてどこをほっつき歩いているのかしら?」

ちひろ「プロデューサーさんなら、舞台の下手側で待機しています。時子ちゃんの姿は絶対に見ないと怒られるって言ってましたから」

時子「ふん、わかってるじゃない。一瞬でも目をそらしたら容赦しないわ」

そう言いつつ、私はステージの上に視線を投げる。

ピンクのフリルを身に纏って、甘い声で歌を歌う彼女。

彼女は本物だ。

アイドルと自己の境界に、差を全く感じていない。自分の全てを、アイドルというもので成形している。

だが、それがアイドルなのだろう。

ちひろが言っていた言葉が、今になってようやく理解できた。

偽物はアイドルになれない。

本物を貼り付けた偽物程度では、人の心に触れることすら敵わないのだ。

この事務員はもしかすると、私のその浅さに気付いた上で、わざと「アイドルになれる」などと言い放ったのではないだろうか。



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