高峯のあ「牛丼とか……言ってる場合じゃない」【番外編A】
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67:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc[saga]
2019/12/05(木) 00:19:40.98 ID:JLsu4+2l0

菜々「意外でした。オールマイティに卒なくこなしそうな高峯さんでも、ミスはするんですね」

のあ「私の存在自体がミスみたいなものよ」

菜々「そんなコトないですよ! な、何でそんな卑屈になってるんですか」

のあ「……昔から焦がれていた。純真さと優雅さを併せ持った制服を纏い、健気に従事することを」

菜々「はえ? ああいうメイド服みたいのですか??」

のあ「憧れは常に無情を孕む……、輝く星にどれだけ手を伸ばそうが届かないように」

菜々「(………)」

菜々「(普段は感情を失ったかのように無表情な人ですけど、こんな風に落ち込んだりするんですね。微妙な変化で気付きにくいですが)」

菜々「高峯さんっ、またチャンスはありますよっ。ナナでよければ愚痴でも相談でも聞きますか───」

のあ「はぁ……」

のあ「このままだと家賃が払えず強制退去になるどころか、今月の光熱費すら危うい………というか今日の食費さえ厳しい」ブツブツ

のあ「流石にこの前飲みすぎたかな………日払いの給料全部使っちゃったし。こんなことなら先月課金しなきゃよかった」ブツブツ

のあ「あぁ、周子ちゃんの部屋でお世話して貰えないかなぁ。いや、あるいは志希ちゃんでもいい、この前に楓さんと一緒に無理言ってお邪魔したけどあの子のマンションは3人くらいは余裕で養える規模よ、面積的にも金銭的にも」ブツブツ

のあ「近くのパン屋で無料のパンの耳を貰ってきて、近くの中華料理屋さんの店舗外のダクトの下で漏れてくる匂いをオカズにパンの耳を貪るのも、そろそろ周囲の目も気になってきたしマズイかな。あとの生命線はスーパーの試食の備蓄ね……」ブツブツ

のあ「椎名法子ちゃんと大原みちるちゃんが出勤した時は事務所内で二人が余らせたパン系の食糧が手に入ると噂で聞いたけど、あれはデマだったし。あとは三村かな子ちゃんが作りすぎたお菓子をおすそ分けするという噂を信じて、人がいなくなったのを見計らってこっそり回収するのに今週は賭けるしかないかな……」ブツブツ

のあ「早くいいお婿さん見つけて、こんな貧乏生活とはおさらばしたい。というか入院したい、そうすれば栄養管理が徹底した三食昼寝付きの生活が確約されるわけだし、いっそどこかで転んで骨でも折れてしまえばいいのに。でも私って子供のころから体は頑丈でトラックに跳ねられても傷一つ無かった時は流石に周子ちゃんも引いてたなぁ」ブツブツ

のあ「はぁ……」

菜々「(────っ?!)」

のあ「あぁ、そう言えば菜々」ピラッ

菜々「ッ!? な、何ですかこのお金!?」

のあ「私があの店を通えなくした分、その期間の貴女の賃金よ。お詫びも込めて」

菜々「要りませんよ変な話聞かされて受け取りにくいですし!! ご自身で使ってくださいよ!?」

のあ「ヘ、変な話……、ァ、あぁ」

のあ「先程の独り言は、その……」

のあ「あらゆる未来を仮定した、いわゆる一つの可能性。空想でしかないわ。私は裕福」

菜々「そんな極貧を描いた空想を突然し始める貴女に今恐怖を感じているナナですけど、とりあえず本当に要りませんからお金は」

のあ「けれど、それでは………貴女の家族が激怒しないかしら」

菜々「や、やっぱりまだそう思ってたんですね!? な、ナナはネグレクトも受けてませんし、家族もちゃんとした普通の人ですから!!」

菜々「勘違いですっ! 一人暮らしで、お仕事もお金も自分の好きな風にしてますっ!! あの時、スーパーでナナが持っていたビールだって………!!」




【酒は自分で飲んだとは口が裂けても言えず、ネグレクトの誤解は解けぬままとりあえず購買のパンを奢って渡して猛ダッシュでその場を去った菜々だった】

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