高峯のあ「牛丼とか……言ってる場合じゃない」【番外編A】
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24:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc[sage saga]
2018/10/29(月) 23:24:29.10 ID:qdKH3wt/0
━━━━━━━10分後━━━━━━━


楓「良かったですね。一口でも大丈夫なんて」

のあ「………」ズズー

楓「むむ………ニラに豆腐に……、最近の技術はすごいですね。食感もなかなかしっかりしていて、これがフリーズドライですか?」

のあ「………」ズズー

楓「こっちのは鶏塩。あっさり味の透明なスープ、麺も極細でつるんとしたのど越し………付属のコショウのアクセントも良いですね」

のあ「………」ズズー

楓「酸辣湯麺風! わっ、これ花椒がすごい効いてて、うわっ、舌がスースーしますよ! これが本当のスー辣タン……!!」

楓「ゴフッ! げほっ!! えッほ!!!」

のあ「………」ズズー

楓「ああぁっ、エホッ」

楓「……おなかいっぱい。持って帰って家で食べたいなぁ」

のあ「(………)」ズズー





━━━━━━━後日━━━━━━━
【某所】


*「あなた様?」

*「如何でしょう。件のらぁめんの感想は集まりましたか?」

「うん? 嬉しそうだな」

*「はい。らぁめんの商品企画に携わることは、アイドルとしての、私の悲願とする所ゆえ」

「そ、そうなのか。それは初耳だ」

「モニタリングの方は上々だよ。今回は他の事務所にも協力して貰ってるし」

「一部だけど、コレ、参考程度にな。匿名なのに名前を書いている感想は、まあ無視していいよ」

*「……有り難く拝見させていただきます」

【四条貴音さんのイメージ的に合致するのは、月の光のように透き通る白湯のスマートな細麺でした。脂っこいのはあまり想像できません】by匿名

*「ふむふむ。私は脂っこいのは大歓迎ですが……」ピラッ

【お酒の〆のラーメンはやはりストレート細麺の、鶏ガラと煮干しの風味が香る、まろやかな味わいの西銀座のお店が鉄板ですね。鰹節を入れるとさらに鶏ガラの味がガラッとほがらかに変わってすごい美味しいです!】by匿名

*「ふ、ふむ……! それは要ちぇっくですね……!」






【結論から述べると、賞味した全ての製品はアイドルという表現者として恥ずべき低次の完成度であると断ぜざるを得ない。重視する製品の質、即ち味。これらを吟味する際、個人的な嗜好や感情を排除しても、用意されたサンプルを噛むたび、啜るたび、所詮はサンプルだと落胆するばかりであった。味わったラーメンからは、貴女の色が何も感じられない。手前勝手ではあるが、こだわりを持つアイドルと尊敬の念を抱いた直後の試食でこれら粗雑な品々を振る舞われ、非常に残念極まりない。
食とは……、あらゆる責任を内包する。命を奪い、喰らう責任。健やかな身体を育む責任。他者に提供し、心ゆくまで満足させる責任。貴女がプロデュースをした製品を口にし、その理解へ到達しているか大いに疑問を感じた。吉野家の牛丼を参考にすると良い、あれは生命のリアルを一瞬で感じることが出来るだろう。
其れはともあれ、単なるインスタント。元来、この企画はアイドルとしての仕事の一端であり、突き詰めるとただの話題作り。そこまで予算を掛ける事も心を砕く必要もない。人並の完成度で庶民の舌をごまかし、それなりの売り上げと評価を受ければ世間のインプレッションは上々。企画的にもそれで万事成功の筈だ。
しかし貴女が真に食を……、ラーメンを愛する女だというのならば、私はその先が見てみたい。型に囚われず既存の味を凌駕し、事務所の既定方針を打破し、妥当な評価に甘んじることなく、限界に挑み貴女の情熱を注ぎこんだ一杯を。アイドルとしての貴女の色で染められたラーメンを食すことが出来る日を、私は楽しみにしている】



by高峯のあ





*「───ッッ!?」ガタッ

*「めっ、面妖なっ!! こここ、この御方は一体……!?」

「??」

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