31: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 02:01:48.47 ID:TYKVB7XU0
『どうしてそう決めたのか。いつ頃から考えていたのか。詳しく訊かせてほしい』
ちょっと昔のことを思い出す。私が引退する意志を彼に告げた時、彼は真剣な顔で私をみていたんだ
私はそのとき、彼に一枚の名刺を見せたのだ。
『……じつはこないだ、同人のイベントでスカウトされて……』
商業誌の編集者によるスカウト。他人事のように思っていたそれが、私の元にも訪れのだ。相手は、私がアイドルと知らなかったらしい。純粋に作品を評価し、私に声をかけた、と語ってくれた
『あなたの二次創作作品をいくつか拝見致しました。今日日珍しいのですよ、ああいう、優しい世界を描ける作家というのは』
二次創作ものの同人誌を書くときの自分ルール。元が不幸なお話なら幸せに。幸せなお話ならもっと幸せに。だって、幸せな人たちを見る方がいいから。
そう思って続けてきたものが評価されたことは、飛び上がるほど嬉しかった。続けてその人は、私の作品の良いところをピックアップしてくれた……同時に悪いところも、だけれど
『いつかオリジナル作品を。では』
そう言って去って行った。それから、私の中に何かが生まれたんだと思う。
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