22: ◆jA.QsgyP6U[saga]
2018/10/18(木) 01:05:40.14 ID:YlJGVrJ2O
“あちらから”かけて来たのだろう。SPの人を見ると、どうぞというジェスチャーとともに頭を下げた。
一体どんな要件でわざわざ自分をグリフィンへ寄越し、さらには執務室へ足を運ばせ、通話をする必要性があるのかは分からない。しかし太田指揮官を待たせる訳にはいかない、彼の負担になるような事はしたくないのだ。良太はその一心で先程までの迷いを振り切り、椅子に腰を下ろし、受話器を取る。
「……はい」
「おーー、やっと繋がったか! こちらグリフィン&クルーガー第3区域指揮官 太田だ。君はIOP職員の、前園良太くんで合っているかな?」
「…………」
ーー感動。
前園良太は今、人生の絶頂を迎えていた。
受話器の向こうから、太田指揮官の声が聞こえ、あまつさえ自分の名前を呼んでくれている。いつもTVかネットで公に対して話をするあのスーパーヒーローが、今良太の耳元で、良太だけに話をしているのだ。幼い頃からヒーローに憧れ、中学3年まで将来の夢がヒーローだった良太にとって、それは言い表せられないほどの感激だった。
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