21: ◆jA.QsgyP6U[saga]
2018/10/18(木) 01:04:00.82 ID:GDHcWqHB0
他にも棚には太田指揮官の幾多にも渡る栄誉を讃えた証書やトロフィーが陳列されており、良太が自分自身を場違いな存在だと悟るのに、そう時間はかからなかった。
「それではMr.良太、その席に座り電話を取ってください」
「え、あ……ぇ? ここに座るんですか?」
思わずたじろいでしまった。心なしか声も震えてしまっている。
それが嬉しさのあまりの感激なのか、畏れ多いという恐怖なのか、最早良太には分からなかった。
「何の為にここへ連れてきたと思っているんですか? 貴方が電話をかけるには、その席に着く他無いのです」
「……分かりました」
自分どころか、世界が憧れた英雄の席に座る。歳もまだ20代前半の、自分なんかが。
まるで自分達がその椅子に睥睨されているかのような感覚に息を呑む。
良太は額に浮かんだ汗を袖で荒々しく吹き、深呼吸をした。SPのおっさんが急いで下さいと催促するが、良太にとってその声は遠い。
プルル…プルルル
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