13: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:19:38.93 ID:eARP+2sV0
モカは海を見ながら餡パンを頬張る。目の前には九十九里浜の荘厳な風景が広がっていた。夕焼けが反射した、オレンジ色の海。きらきらと橙色に光輝く水面が、夕空の混ざり合い、溶け込んでいる。
モカ「んー、景色を見ながらのパン・・・良いね〜。幸せ〜」
男「それなら良かった。幸せ、か・・・。ーーモカちゃんは、リストラって知ってるかい?」
14: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:20:29.22 ID:eARP+2sV0
男「妻とは離婚してしまうし、子供には新しい良いお父さんが出来たって言うし・・・。もう、俺がこの世に存在する意味なんて何一つ無いんだよ」
モカ「・・・ふーん」
男「モカちゃんは、人が泣く理由って知ってるかい?」
15: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:22:21.30 ID:eARP+2sV0
モカ「・・・おじさんの話・・・あたしはよく分かんないけど・・・」
モカは立ち上がり、男の方に振り向く。
モカ「おじさんはパンをおごってくれたし、今だって自分の分のパンを分けてくれたし。今あたしのことを誘拐してるわけだけど・・・それでも、おじさんは良い人だよ」
16: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:23:13.85 ID:eARP+2sV0
男の目から、雫が一つ、頬を伝った。
嗚咽を漏らしながら、とめどなく溢れる涙を手の甲で拭い続ける。
頭を下げて、子供のように泣きじゃくった。
17: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:24:58.79 ID:eARP+2sV0
男はモカを乗せ、車を走らせた。数時間かけて、家まで送り届ける。あともう少しで家に着くところだ。
男「ごめんな、モカちゃん。今日はおじさんのせいで大変な一日になってしまったな」
18: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:25:39.61 ID:eARP+2sV0
男「あの・・・モカちゃんのお母さん。この度はすみませんでした」
男「土下座しろと言われれば頭を地面に擦り付けますし、警察を呼ぶのなら、私は逃げたりせずにちゃんと罪を償います。どうぞ、お好きなようにーー」
19: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:26:21.96 ID:eARP+2sV0
モカ「たくさんのパンと・・・」
モカ「夕焼けを見ながら食べるパンは、格別だ、っていうこと」
モカの母「モカ・・・」
20: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:27:31.57 ID:eARP+2sV0
男「すみません。本当に・・・ありがとうございます」
モカの母「いえいえ。ウチの子がお世話になりました」
モカの言葉により無罪となった男は、車の前でモカの母と話していた。
21: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:29:24.36 ID:eARP+2sV0
先に家の中に入り、自分の部屋でベッドに横になっていたモカはすうすうと寝息をたてていた。
モカの母「今日は大変なおつかいだったわね。・・・お疲れ様」
母はモカの顔を撫で、微笑んだ。
22: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:30:08.14 ID:eARP+2sV0
モカ「・・・というわけなのでした」
蘭「へー・・・。まあ、モカは昔からモカだったんだね」
モカ「へへ〜、まあね〜。・・・あ、蘭。見て、綺麗な夕焼けだよ」
23: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:41:31.53 ID:eARP+2sV0
以上で完結となります。読んでくれた方、ありがとうございました。話の大筋は「MIND ASSASSIN」という漫画をモチーフにしました。アレンジは加えていますが…。
初めてこのサイトを使ったので、分からないことだらけで、何か不備があるかもしれませんが、暖かい目で見守っていただけたらと思います。書き終わったあとに言うのもなんですけど。
投稿ペースから分かるとは思いますが、予め書いていたものを貼っていったので、その場で書いていた訳ではありません。
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