2: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 19:04:10.18 ID:YDitP8hM0
第1話「床を拭いている」
8月29日 17:59分
勇太「あ、あのさ。ちょっと時間ある?」
丹生谷「どうしたの?」
勇太「大きな声で言えないからさ。ちょっと折り入って頼みたいことがあるんだけど」
丹生谷「なに?」
勇太「事情で公衆電話だから早く端折りたい」
丹生谷「ああ、そうなの」
勇太「い、言いにくいんだけどさ......その。......。......。えっと......」
丹生谷「......はぁ。はやくして」
勇太「こ、う......六花に告白したいって思うんだけど......」
丹生谷「え?ええええええええええええええええええ!!!!!」
丹生谷「うっそ......。まじ?」
勇太「鼓膜が痛い!」
丹生谷「ああ、ごめんね。で、どうなったの?」
勇太「実は何もやってない。ただそう思っただけ......」
丹生谷「えー、なーんだ。つまんないの!んなことで時間とらせないでよ!」
勇太「ああ、ええと、......あ!そうだ!それで告白のことでな。告白」
丹生谷「へえ、いいじゃない!うんうんそれが?」
勇太「それで。どっかにデートする計画を考えようと思ったんだけど、いまいち決まらなくて」
丹生谷「今度こそ真正面キスするんでしょうね!」
勇太「そ、そっち聞く!?うん。いやこのために電話してるんだから」
丹生谷「はは〜ん。ずばり、デートの仕方教えてほしいってこと?」
勇太「いやそれはもう大丈夫だ。これから良いやつ考える。告白のことを思うと一番かっこいいデートってのが、いまいちつかめなくて」
丹生谷「んな遠回りしてるからデートにたどり着けないんでしょ!」
勇太「丹生谷ならこういうの得意だろ?女の子だし」
丹生谷「はぁ!!!?何言っちゃってんのよ!!」
勇太「分からないのか?」
丹生谷「ああ分からないわよごめんなさい!!参考にできないゴミですぅ!!もう最っ低!!あんたなんか振られちゃえばいいのに!」
勇太「違う!皮肉じゃなくて!そういう意味じゃなくって!あ。丹生谷は一層変わってるよな。かわいいし、スタイルいいし、性格もいいし」
丹生谷「心の底からそう思ってない人に言われたくない!」
勇太「うっ......。お願いがありまして、ぜひ丹生谷にご教授願いたいと」
丹生谷「い〜〜〜〜や!自分で考えて!」
勇太「そっか......じゃあ俺一人でやる......」
丹生谷「......」
勇太「よくよく思えば、告白を赤の他人に任せようだなんて鬼畜だったよな......。ありがとう。じゃあ」
丹生谷「一人でやるの?ほんとに?」
勇太「うん。怖いけど。でもどうやりくりするか掴めないんだよな。不安でこうして電話している今が一番安心するレベルで。
でも何言ようかな......大丈夫だから、たぶん......。ばいばい」
丹生谷「富樫君!待って」
勇太「えっ!」
丹生谷「あ!あの、じゃこういうのどう?練習っていうのは?」
勇太「練習?なんの?」
丹生谷「そう。女の子って命がけなのよ。付き合う日も結婚指輪をもらう日もずっと覚えているんだから。富樫君はそれをやろうとしてるの、わかる?」
勇太「そんなのとっくに理解してる!悲しませたくないんだよ。あいつにとってほんとの幸せを探したい......」
丹生谷「へえかっこいいところあるじゃない!好きな女の子のために人生をかけるって私憧れなの!小鳥遊さん富樫君好き好きになるわよ」
勇太「うるさい!もうそういうのは卒業したの!」
丹生谷「やる?」
勇太「あ、いや。嬉しいけど告白の仕方の指導をしてほしいだけで、別にそこまで求めてない」
丹生谷「富樫くんみたいな鈍感オブ鈍感な男の子が、デートのことまで気遣いできるのかな〜」
勇太「うっ!!!やめろよ!!聞いたら死亡フラグだろ!!!」
丹生谷「いつの間に泣かれたりして!」
勇太「ないない!!やめろおお!!」
丹生谷「あっそ。じゃあ告白も一人でやればいいじゃん」
勇太「......分かった。する」
丹生谷「利害一致ってことね」
勇太「お前にまんまと乗せられた気がする」
丹生谷「じゃあ〜練習ということでね〜」
勇太「うん?」
丹生谷「私と一緒にデートしない?」
勇太「ええええええ!!???お前ほんとに丹生谷か?」
丹生谷「なによ、いや?」
勇太「ダメに決まっているだろ!俺彼女いるんだぞ!俺を罠にはめる気か!!!」
丹生谷「なによ好きじゃないわよ!これは仮デート。あくまでごっこ。
誤解されたようだから盛大に言おうと思っているだけどね、あんたのことなんか気にも留めてないわ!ひとっつもね!!!!!!」
勇太「ひっ!!!!」
丹生谷「ゴミ?なんていうか。あ〜、公衆電話だったわよね。その理由聞きたい?聞きたいでしょ?今週の日曜日教えてあげる、ふふっ」
勇太「聞きたくない聞きたくない!!!」
丹生谷「心ボロボロにならないように気を付けてね。私が口を開けたらびくびくさせてあげる」
勇太「お、おい、どういう言う意味だよそれ!」
丹生谷「こ・く・は・くの仕方も分からない男の子に、一から教えるの。ありがたいと思いなさいよね。それとお金持ってきてね当たり前だけど」
勇太「お前だって分からなくせに」
丹生谷「は!?何か言った!?」
勇太「......」
丹生谷「明日そこ含めて話しするから、きちんとするように。ましてや遅刻なんてしたら......」
勇太「あ、うん。あのさ、でもそんなことしたら六花に見つかったら俺......」
丹生谷「見つからないようにしなさい。石山駅で集合ね。じゃあね〜」
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