37: ◆DGwFOSdNIfdy[saga]
2018/10/27(土) 05:02:28.88 ID:usTEBRsSO
エントランスホール。最原がグランドピアノの側で屈み込み、落ちていた赤松のヘアピンを拾う。それをズボンのポケットに仕舞い立ち上がった所で春川・アンジー・入間が次々やって来る。
アンジー「やっぱりここに来てたんだねー」
入間「何か見付かったか?」
最原「ううん…彼女の居所の手懸かりになりそうなものは、まだ何も」
最原がピアノの屋根を持ち上げ、五指が不揃いな女性の手を発見する。
最原「…っ!」
入間「こ、これってまさか赤松の─」
最原「いや、違うよ」
春川「……」
最原「これを見てよ」
最原が女性の手の親指を指し示す。
アンジー「絆創膏だねー?」
最原「うん。所々指が切断されているのは犯人の仕業で間違い無いけど…これはその前からあった傷だろうね」
最原「だからこの手が、指の怪我に対して過敏な赤松さんのものであるはずがないんだ」
アンジー「じゃあ、この手って誰の手なのー?少なくとも是清ではないよねー」
最原「強盗の誰かじゃないかな。恐らく彼らは複数犯だったんだ。それできっと仲間割れして─」
春川「最原」
最原「…ん?」
春川「赤松のだよ、その手…」
最原「……何、言ってるの」
春川「最原は知らないけど、赤松はピアノの蓋に指を挟んだんだよ。右手の親指…私が手当したの」
入間「あ、それならオレ様も見たぞ!」
最原「でも─」
春川「最原だって本当は気付いてるんでしょ?その手の指の長さ、爪の形、肌の色合い…私でさえ見憶えがあるくらいなのに、況してやアンタに判らない訳が無い」
最原が押し黙る。
アンジー「ね、終一…」
最原「ごめん、ちょっとひとりにしてほしい」
春川「死にたいの?」
最原「そんなんじゃないよ。だから、すぐ戻る」
春川「そういう事なら…ここで待ってる。あんまり遠くに行かないでよ」
最原「うん…」
覚束無い足取りで歩き出す最原。そのまま階段を上がり2階へ。
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