7:名無しNIPPER
2018/08/22(水) 22:02:47.78 ID:Lk7EkXPWO
折原は、この研究会に入ったことを除けば真っ当な感覚の持ち主だった。綺麗なものを綺麗、醜いものを醜いと言える人間だった。
僕や佐和とは違う感覚を持つ彼女と討論をするのは、中々に有意義だった。世の中のマジョリティな感覚、僕らが持ち合わせていないものを再確認することができるからだ。
「僕は捻くれているんだ」
「知ってます」
折原は事も無げに言葉にした。僕のことを先輩だと思ってはいないだろうなと思うほどの軽さだった。
僕の前世については、彼女が入会した時に告白しておいた。これから語るべきものについて、情報を公開しない意味はない。
しかし一方で、彼女のそれ聞かないでいた。正確に言えば、「言っても良いし言わなくても良い」という選択肢を与えたわけだが。
とどのつまり、僕は僕の苦悩を誰かに告白したかっただけで、誰かのそれに興味があるわけでは無い。
そして彼女は、自らそれを話すことは無かった。
だからまあ、話題は自然と僕の前世についてになる。
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