海未「『ひとりぼっち』の、君となら」
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209: ◆tHYtfyUBW.[sage saga]
2018/08/15(水) 18:03:33.57 ID:L0ciGIt40
点滴台には無色の液体が入ったパックがぶら下がっており、そこから延びた細い管は全て一つの終着点に向かっている。

どうやら、電子音もその方向から響いているようだ。

海未「…終着点はここからでは見えませんね…行ってみますか」

海未は点滴台を掻き分けるように退かして進む。

消毒液の匂いはどんどん濃くなっていき、それに伴って電子音も大きくなっていった。

ガシャッ…ガシャッ…

派手な音を鳴らしながらしばらく行くと、無数の管が集まる終着点に到着する。

そこには医者の姿も、点滴台以外の医療機器もなく、白いシーツにくるまれた一台のベッドが鎮座していた。

ベッドの上、目が合った『あの人』の変わらぬ姿に、海未は息を呑む。

ブロンドの髪と、日本人離れした顔立ち。

それから、一呼吸おいて、こう話した。





海未「…久しぶりですね、絵里」





絵里「うん、本当に久しぶりね、海未」





絵里は見慣れた優しい笑顔で、そう返す。

海未「…外で何が起こっているか解っているなら、教えてください」

海未「『あの日』…何があったのかを」

絵里「…もちろん。外の事は全部解ってる」

絵里「いいわよ…教えてあげるわ」

そう言ってから絵里は、『自分一人しか体験し得なかったこと』を、語るように話し始めた。



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