58:名無しNIPPER[sage]
2018/08/16(木) 03:27:02.55 ID:1RkWeFQA0
千聖「……っ」
千聖(そしてやっぱり私は後悔した)
千聖(好奇心は猫をも[ピーーー]。ただその言葉が脳裏に浮かんだ)
千聖(イヴちゃんの言う通り、紙面にはたくさんの人の顔が描かれていた)
千聖(確かに、みんな笑顔だ)
千聖(そして、みんな笑顔で、目だけが笑っていない)
千聖(そんな顔がいくつもスケッチブックの上に描かれている)
日菜「んー、変な絵。あ、右下の方に何か書いてある」
日菜「えーっと……『ひとのあさましいほんしょうのえ』……?」
千聖(何でもないように日菜ちゃんがそれを読み上げる)
千聖(私もそこへ視線をやって、先ほどよりも強く背筋に冷たいものが走った)
千聖(紙面の右下の隅、小さく、ただ几帳面であるという以外に表現のしようがない文字で、二重の鍵括弧に括られた、ひらがなのタイトル)
千聖(『ひとのあさましいほんしょうのえ』)
千聖(『人の浅ましい本性の絵』?)
千聖(私が普段見ている彩ちゃんのイメージに大きなヒビが入ったような気がした)
日菜「ふーん……」
イヴ「…………」
麻弥「…………」
千聖「…………」
千聖(日菜ちゃんは何でもないようにしているけど、私と麻弥ちゃんとイヴちゃんは黙りこくってしまった)
日菜「えーっと、次のページは……」
千聖「ひっ、日菜ちゃん? あんまり、その、ページを進めるのは、彩ちゃんに悪くないかしら?」
千聖(諫める為の言葉が裏返る。これは彩ちゃんの為の言葉なのか、私自身の為の言葉なのか。判断がつかない)
日菜「ダイジョーブでしょ! 彩ちゃんがスケッチブック見てていいよって言ったんだし!」
千聖(あなたは怖くないの? と喉元まで出かかった言葉をすんでのところで飲み込む)
千聖(それを言ってしまったら、いつも一生懸命で頑張り屋さんで、私たちの知っている彩ちゃんがどこか遠くへ行ってしまうような気がしたから)
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