104:名無しNIPPER[saga sage]
2018/08/19(日) 12:45:19.28 ID:L7rMXKsm0
――奥沢家 美咲の部屋――
美咲「……はぁ」
美咲(見慣れた自室の天井。ベッドに横たわりながら、そこへ今日何度目かも忘れたため息を吐き出した)
美咲(8月になったら、こころはいなくなる)
美咲(いや、いなくなるっていうか、あたしたちの目の前から遠いところへ行ってしまう)
美咲(そう考える度に、胸の中に重苦しい気持ちが渦巻く)
美咲(今は7月の初頭)
美咲(残されたこころとの時間は約3週間)
美咲(好きだった連載漫画が打ち切られるような、納得のいかない唐突の別れ)
美咲(だけど、これが本当にあたしのワガママであって、ただ拗ねているだけだというのも痛いほど理解できる)
美咲(考えてみれば当たり前のことだ)
美咲(こころは頭に『超』をいくつつけても足りないくらいのお嬢様)
美咲(あたしは頭に『超』なんてつけられないただの一般市民)
美咲(一室の天井の高さだって2倍くらい違うし、弦巻邸の庭はあたしん家が5、6個建ってたって、またバッティングセンターを作れそうなくらい広い)
美咲(考えれば考えるほど、嫌になるほど痛感させられる)
美咲(こころとは住む世界も見えている世界も圧倒的に違うのだ)
美咲(でもそんなことはとっくのとうに分かりきっていたことだし、今さらになってこのことで傷付いてしまうのは……)
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