102:名無しNIPPER[saga sage]
2018/08/19(日) 12:43:17.23 ID:L7rMXKsm0
美咲「あの、こころ。それってつまり、転校するってことだよね?」
こころ「そういうことになるのかしら?」
美咲「それってどういう意味か分かってる?」
こころ「花咲川女子学園からいなくなるってことよね」
美咲「……ハロハピはどうするのさ」
こころ「どうするって?」
美咲「こころがいなくちゃ活動も何もないでしょ」
こころ「大丈夫よ! その時だけこっちに戻ってくればいいのよ!」
美咲「…………」
美咲(多分、こころは本気で言っているんだろう。確かに自家用ジェットくらい何機も持っているだろうし、日本に来ようと思えばすぐに来れるんだと思う)
美咲(だけど、それだけの問題じゃない)
美咲(時間だってたくさんかかるし、顔を合わせる機会だってよくて週に1回ほどだろう)
美咲(曲を作るのはあたしと花音さんだけど、その大元はこころだ)
美咲(こころがいなければ、多分『ハロー、ハッピーワールド!』は瓦解してしまうだろう)
美咲(そう考えてしまうと、胸の内をチリチリと焦がすような痛みがやってくる)
美咲(どうしてこんな痛みを感じるのか、と考えれば、あたしにとってそれだけこのバンドが大切になっていた、ということ)
美咲(そして、何より大切に思っているだろうと考えていたこころが、想像以上にハロハピという存在を軽く考えていたことに勝手に裏切られた気持ちでいるからだ)
こころ「美咲? どうかしたかしら? なんだか怖い顔をしているわよ」
美咲「…………」
こころ「ほらほら、笑顔よ美咲! レッツスマーイル!」
美咲「ごめん、ちょっと今日は帰る」
こころ「え?」
美咲「ごめん」
美咲(短くそう言って、踵を返す)
美咲(これはあたしのただのワガママだ。弦巻財閥のことに口なんか出せる訳ないし、こころのお父さんから見れば『ハロー、ハッピーワールド!』なんて取るに足らない子供のお遊びだろう)
美咲(でもその事実が胸に深く突き刺さって、色んな感情がごちゃまぜになって、笑うことなんて絶対に出来なさそうだ)
こころ「体調が悪いのかしら? お大事にね!」
美咲(いつもと変わらないこころの声が聞こえる)
美咲(あたしはそれに返事をせず、弦巻邸をあとにするのだった)
……………………
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