5: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 22:53:21.77 ID:ppFvLiXj0
はやく帰ってこないかなー、プロデューサーさん。
ソファで足をばたつかせながら、机に投げ出されていたファッション誌にもう1度手を伸ばす。
何度読んだか分からない、流行のコーデ、小物、下着……。
6: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 22:56:51.27 ID:ppFvLiXj0
「暇やなー」
もちろん誰も応えてくれない。
7: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 22:58:28.82 ID:ppFvLiXj0
無為な時間に耐えかねて、蝉の鳴き声を数え始めた。
1匹、2匹。あ、また鳴き出した。3匹目。
連日の暑さに流石の彼らも堪えているのか、今日は何だか覇気がない。
8: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 22:59:18.15 ID:ppFvLiXj0
「そんとき空から、けったいな光が降りてきはったんですわー」
ぽつりと他のアイドルの歌声を真似る。
もちろん合いの手は入らない。
9: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:01:12.53 ID:ppFvLiXj0
「なに? なんや?」
慌てて周囲を見回す。
10: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:02:14.10 ID:ppFvLiXj0
「はい、もしもし?」
白色の受話器を取って、1拍を置いてから応答する。
11: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:03:08.04 ID:ppFvLiXj0
「ちひろさん?」
『急にごめんなさいね。いま事務所に1人? プロデューサーさん、帰ってきてる?』
12: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:04:09.98 ID:ppFvLiXj0
『今日プロデューサーさんね、お昼には事務所に戻ってくるって聞いてたんだけれど。私、お昼頼むの忘れて外に出ちゃったのよ』
「あ、じゃああたしやるよ。任せて」
13: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:05:30.64 ID:ppFvLiXj0
回線が切れる音がする。
あたしも受話器を置いてから、ちひろさんの言葉を反芻する。
少しばかり考えてから、あたしはくるりと身体の向きを変えた。
14: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:06:02.42 ID:ppFvLiXj0
プロデューサーさんと、お昼かあ。
ちゃりんちゃりん、と指で回した鍵がご機嫌な音を立てる。
ふふ。今日のお昼ご飯は、このしゅーこちゃんに任せてもらいましょう。
15: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/08/13(月) 23:07:11.27 ID:ppFvLiXj0
○
「ただいまー」
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