60:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:28:26.68 ID:w6V3e5/y0
千鶴ちゃんと裕美ちゃんとの三人での共演は、あるイベントで叶うことになった。
プロダクションが定期的に開いているもので、新人をメインで行っているイベントだ。
それに私たち三人も選ばれたのだ。
でもどうしてか、それを伝えたプロデューサーさんの表情はすぐれなかった。
別に喜んでくれないのは分かっていたけど、なにか不満があるようだった。
「プロデューサーさん、どうかしたんですか」
「いや……」
プロデューサーは口を濁してから、首を振った。
「なんでもないさ」
渡された企画書には、行われる場所も書いてあった。
会場は複数あり、私たちの出るのは、地方のある海の傍のホールだった。
朝霧の漂う駅に降り立って、そこからさらにバスに乗って、目的地の傍のバス停に降りた。
バス停の目の前には、広がる海の景色。突き抜ける青色に、私は目を輝かせた。
「わあ、凄い……」
「ほら、行くぞ」
それでもプロデューサーさんは素気ない。少しぐらい海の綺麗さに感激してもいいんじゃないか。
「プロデューサーさん、少し海の方に行ってみてもいいですか」
「駄目だ」
「えっ」
有無を言わせない拒絶に私は驚いてしまった。
時間だってまだ余裕があるというのに。普段より少し早い足取りで進むプロデューサーさんに、私は慌ててついていった。
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