25:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:27:52.71 ID:S8sM1lda0
「あ……ご、ごめんなさい」
「いいえ……大丈夫です。貴方は……?」
顔を上げて、改めて相手をまっすぐ見て、私はどきりとした。
ウェーブのかかった髪に、首からは可愛いアクセサリーをつけていた。こんな状況でなければ、どこで買ったか聞いてみたくなるような、可愛いアクセサリー。
でも、そんなことは聞けなかった。
彼女は、私をジッと睨みつけてきているようだったから。
怒ってるのだ。私はとっさに頭を下げた。
「あ……あの、本当にごめんなさい……!」
「えっと、本当に大丈夫だから」
私が顔を上げると、まだ視線はするどくて、でも、困惑してるようにも見えた。
「怒ってないから、本当に」
困ったように言ってから、彼女は無意識にか、顔に手をやった。表情を気にするように肌に触れていた。
「もしかして、貴方も自主レッスンにきたの?」
「いえ、そうじゃないんですけど……」
私は周囲を見渡した。並んでいるレッスンスタジオの扉。そのいずれかが自分の本来のレッスンスタジオなのかも分からない。観念したように息をついた。
「レッスンが始まる時間なんですけど……私、部屋を間違えちゃったみたいで」
「もしかしてそのレッスンって、ダンスレッスン?」
「はい……そうですけど」
なんでそんなことを聞いてくるんだろうか。
そもそも、なんで言い当てられたか。首を傾げた私に、彼女は驚いていたようだった。
「ダンスレッスンが中止になったの、知らなかった?」
116Res/145.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20