巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」
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逆転の人
◆SxyAboWqdc
[saga]
2019/04/03(水) 22:04:14.47 ID:n2q/bmQ40
赤松「誰か一人は……一人くらいはいてほしかったよ」
赤松「この人さえいなくなれば……ううん! 別の方法でもいい! とにかくこの人さえ倒せれば!」
赤松「それで一旦区切りにはなるって胸を張れるような、そんな本物の悪役がさ!」
最原「でもそんな人はこの学園に一人もいなかった。それに一番最初に気付いたんだ。赤松さんは」
赤松「偽物が本物に勝てない道理なんてない! 白銀さんを制圧した後で、私はそう言ってやりたかった!」
赤松「そう証明しなきゃ、私たちは本物だらけの外の世界に出て、とても戦っていけない! 生きていけないよ!」
赤松「でもさぁ……!」ポロッ
天海「そのタフな台詞を吐くために必要な前提が最初から存在しなかった」
天海「……白銀さんすら被害者で、偽物だったから。俺たちが外の世界に勝てるかもって希望を得るためには、本物だけは絶対に必要なのに」
赤松「最原くん。あると思う?」
最原「……」
赤松「私たちが外に出た後で、煙のように吹き消されない。そんな可能性がどこかにある?」
赤松「また同じようにコロシアイに組み込まれるだけかもよ?」
赤松「ううん! それならまだいいかもね! もしかしたらサックリ一瞬で全滅ってことだってあり得る!」
赤松「私たちは外の世界のことを何も知らない! だって外の世界から来た物なんて、この学園に一個たりとも無かったんだから!」
赤松「この恐怖を……未知っていう恐怖を味わった人に! 外に出る気概があると思う!?」
赤松「いや! あったとしても! それで外に出れるとしても! 想像を絶する苦痛には違いないよね!?」
赤松「私たちは散々思い知ったはずだよ! 学級裁判で何回も! ただ選択をするだけでも、そこには耐え難い苦痛が伴うんだよ!」
赤松「それが自分の命を賭けた選択であれば当然! 隣の大事な誰かの命もかかったものなら猶更!」
巌窟王「……だから目を逸らし、他の連中の目も欺いたのだな」
巌窟王「選択に伴う苦痛を……せめて他人のものだけでも軽減するために」
アンジー「……楓……」
最原(僕の答えは決まっていた。多分、赤松さんのやったことに気付いた昨晩からずっとだ)
最原「僕は外に出たい」
赤松「……ッ!」
最原「……怖くても、苦しくても、辛くても、何があるのかまったくわからなくっても……!」
最原「それでも僕は、外に出たいんだ!」ズギャアアアアアアンッ
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