6: ◆V1gN/9sbLo
2018/08/06(月) 22:26:43.43 ID:seikrJsf0
いや、無論“そういうこと”ではある。P自身の手の込んだドッキリの内容ではあるのだが――如何せん、手が込みすぎていた。
やけに寒い部屋。冷房をガンガン利かせた狭い室内――悪寒にも似た条件付けが彼女の動悸を促進する。倒れた椅子には片方の靴が乗っており、天井からぶら下がっているロープは僅かに揺れている。
つまり、今まさに起きた出来事なのだという実感と、襲い来る非現実感の隙間で、美優の意識を完璧に奪い取っていた。
美優「……」
声が出ない。足が動かない。落としたバッグを拾って、救急車を呼ぶことすら、今では敵わない。ところで119って何番だっけ――朦朧とした視界の中で、美優はそんなことを考えている。
完全に、静止していた。
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