58: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/07(火) 02:27:03.23 ID:KfRt/2pU0
そして現在。
俺は大学院を卒業後、宇宙飛行士の卵として研究所に勤めている。
今日は大野の命日だ。
研究所に就職することが出来れば開けようとずっとしまっておいた封筒を手に取る。
緊張して封を開ける手が震えていることに気が付いた。
軽く深呼吸をしてパリッと糊を剥がす。
指を封筒の中に滑り込ませて一枚の便せんをとりだした。
恐る恐る開く。
几帳面な字が、ならんでいた
ずっと好きだった。
俺のかわりに夢なんか叶えないでくれ。
お前なんか俺の後を追って死「ねばいいのに
あいつは俺にこんな我儘堂々と押し付けてくるようなやつじゃなかったけど、
文面を見た瞬間あ、大野だと思う。
俺はその手紙を迷わずゴミ箱に放りこんだ。
誰の恋が死のうが、人生は続いていく。
ポケットから取り出した煙草に火をつけた。
それから深く深く煙を吸い込んでふーっと息を吐きだした。
大人になんてなりたくないものだと、そうニコチンでくらくらしながら俺は思った。
俺はまた今夜もあいつの夢を見るのだろうか。
杉山「頼むからさっさとしんでくれ…」
いや、これはお願いなどではない。
杉山「大野なんてしねばいいのに」
ただの祈りだ。
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