38: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/06(月) 03:17:21.79 ID:yVF65aIb0
「アイスコーヒーで、ミルクとガムシロップをひとつずつ」
ぼーっとしていた俺に杉山君は?とそいつは促した。
杉山「えっと…じゃあオレンジジュース」
何も考えてなくて、元カノに出くわした時から動揺しっぱなしだった俺は思わず嫌いではないけどいつもなら絶対頼まないようなものを頼んでしまった。
「…同じ高校なんでしょ」
大野君。
やけに覚えのある声でそう言われて苦しい記憶がフラッシュバックして視界が一瞬ちかちか光った。
杉山「あ、あぁ」
「合格した県内でもトップクラスの大人気進学校蹴って…杉山君と同じ片道二時間かかる微妙な私立通い?」
杉山「…噂って広まるもんだよな」
「杉山君も杉山君で意味不明よね。十分合格圏内だったのに解答白紙で出すなんて。ほんと、なにしてんのよ…」
杉山「…。」
「まぁ、あらかた大野君と離れたかったって理由でしょうけど。」
失礼します、とオレンジジュースが目の前に運ばれてくる。
カランと音を立てた氷。
完全に読まれている。
何かを言わないと、そう思って口を開いたが、否定の言葉も言い訳も全く出てこなかった。
目の前の女は俺の様子をみて勝手にしゃべり続けた。
「凄いわよね、まさかあいつでも合格した第一志望…自分のために蹴るとは思わなかったでしょ。」
でもね、
「あんたには多少隠してたみたいだけど、この件だけのあいつが行き過ぎてたわけじゃない。あいつは…もとからそういう男よ」
聞かせてあげましょうか?とそいつはほほ笑む。
明るく髪の毛を染めている、大野をあいつ呼ばわりしたそいつは、まるで俺の記憶とは別人のようだった。
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