30: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/05(日) 23:07:46.94 ID:g6GaQPCv0
「あの…第二ボタン、あげる子いますか?」
中央にいた女子にそう恐る恐る見上げられる。
一瞬喉に呼吸が詰まる。
手放したくないと、そう思ってしまった。
でもこんな物を残しておく必要性なんて本当は一ミリも無かった。
思い出にいつまでも縋っているわけにもいかない。
恋が死んだって、人生は続いていく。
杉山「いないよ」
ひと思いに第二ボタンを千切った。
ずっと逃げていた思い出を[ピーーー]ようだった。
たった一つのつながりを失った学ランは、その瞬間、つながることをやめた。
ボタンを受け取った女子はありがとうと俺に向かってお辞儀をする。
そして何かを言いたげに暫く俺の顔を見つめていたがうっすら涙を浮かべた顔で少しほほ笑むと友達を連れて俺の前から立ち去った。
名前も知らない女子。
もう二度と会うこともないのだろう。
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