16: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/03(金) 21:18:44.33 ID:GdHGw1+H0
新学期。
新しい学年で皮肉なことに大野と俺はクラスが離れた。
願わなかったとは言え、若干ほっとしている自分がいることも確かだった。
俺の彼女は、またしても大野と同じクラスだった。
大野「杉山、お前高校決めた?」
帰り道、当たり前のように下駄箱で俺を待ち伏せてた大野にそう尋ねられる。
杉山「うん、お前は?」
大野「俺も決めた。」
そう言って大野が続けていった高校名は、まさしく俺の志望校であるこのあたりで一番の進学校であった。
杉山「やっぱりお前もか?」
大野「絶対杉山ならここ志望するって思ってた。絶対一緒に受かろうな。」
前のほうを向きながら首に巻いてたマフラーを握りしめるあの時の大野の姿を今でもヤケに覚えている。
杉山「おう!」
受験なら、たとえ大野に勝てなくても受かる事が出来るんだ。
そう言って、受験勉強を本格的に始めたのだが、俺は
夏休み目前になって急にエンジンが切れてしまった。
あえて理由をあげるとすれば、大野と張り合うことをやめたからだろう。
まだ大野に勝とうと思っていた最初のテストでは、少しでも休んでいる間に差をつけられるのが嫌で嫌で仕方なくて、一心不乱に机に向き合っていた。
今はと言えば、テストで大野に負けても人並以上にできていればそれでいいと思うようになっていた。
周りがどんなに大野大野と騒いでも、彼女が俺を杉山君と呼んでくれればそれでよかった。
今日はいいや。
明日やろう。
疲れてるし…
気が付けば、毎日そんなことを言っていた。
当然俺の点数は思うように伸びない。
対して大野は順調に勉強を進めているようだった。
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